ハンドクラフトオブジェの作成も承ります

業務用食器は石膏型で量産をするのですが、今回ハンドクラフトの試作ご依頼を頂きました。
ご依頼品は、
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コーヒー豆のオブジェです。
ご依頼頂きました、「リロコーヒーロースター」様は、
大阪心斎橋にある、Coffee業界では有名なバリスタが所属する会社様です。

~人生はあなたの周りに良い人がいて、良いコーヒーだけを飲むことです。

「ええ仲間と美味しいコーヒーがあれば、人生はもっと楽しくなるはず」

すべてはこの想いから始まりました~

オーナー様より、こちらのお客様は本当にコーヒー好きのお客様が多く、
クラフトショップで買ったコーヒー豆のオブジェをレジのお釣り用の重しに置いておいたら、
譲ってほしいとのお客様の声がたくさんあったそうです。
手造りの暖かさは何とも言い難い気持ち良さがあります。
当社以外にも色々声を掛けて聞いてみたが、かなり法外な値段を言われて悩んでいたそうです。
今までは石膏型を使った量産品しかやっていなかったので、まずは協力先の窯屋さんをあたり、試作をしてもらいました。
お客様との希望が合わず、量的にも何度も試作(有料)を頼んでもご希望の金額にあわなくなるため、内製での作成をしてみる事になりました。
まずは土です、正直用途が違いますが、食器用の超強化磁気土を使用。
これを適量切り分け、収縮を確認。
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収縮は2段階あり、乾燥時の収縮と焼成時の収縮です。
中身が詰まった無垢の土はなかなか乾燥しないのに加え、
最初は徐々に乾かさないと乾燥時にヒビが入ってしまいます。
コーヒー豆の特徴である真ん中のヒビ?も、手で入れます。
これがまた難しい、土が柔らかすぎると筋が入らず形が崩れてしまうが
乾燥しすぎるとすぐにヒビが入ってしまいます。
これは本当に何個も試作を繰り替えし、
どうにか良い雰囲気の筋が入れられるようになりました。
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同時進行で色合わせのテストも進行しました。
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これが焼けると
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こうなりました。
うーん、なんかイマイチだな。
コーヒー豆ズバリの濃い色でなく飴のような色気のある色のご希望だったので、
レギュラーで使っている色では合わず、釉薬(うわ薬)のテストも依頼。
これって、本来新しく釉薬を調合するのなら500〜1000個単位の量が無いとできないんですが、今回の希望は50個。
でも飴釉がうまく行けば食器にも活かせるのでは、という期待も込めてテスト。
ここまでのテストで3ヶ月、ようやく生地のサイズと乾燥時間、釉薬の調整が決まりました。
試作品をオーナーさんへ送り、50個でOKを頂き製作開始。
更に、オブジェの裏に屋号のロゴを入れてほしいとのご依頼。
生素地から作成するので、押し印を作ればロゴ入れは可能ですが、近年印を作ってくれる
判屋さんが相次いで廃業、現実に印を作成するのが難しい時代になってしまいました。
そんな所へ昨年やってきた3Dプリンタが活躍
CADでロゴ印を作成して押し印をプリントアウト!
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コストは掛かりますが、今回は当社も試験の意味もあるためロゴはサービスでお作りしました。
豆のヒビ模様と裏の印、共に素地が乾く前の柔らかい時間に行わなくてはなりません。
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失敗も加味して生地を60個作成、まずは土をこねて空気が入らないように豆の形を
整え、しばらく乾燥させた後ヒビ模様を竹べらで入れます。
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成型・印押しが完成したら乾燥です。
乾燥機で1週間、じっくり中まで乾燥させます。
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乾燥完了後、仕上げを行いました。
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手触りを良くするには成型した生地を更にペーパーやすりで削る必要があり、
かなり手間をかけて仕上げを行いました。
このひと手間は結構仕上がりに影響があるため大変ですが行いました。
更に1週間天日で乾燥、ようやく中まで乾燥出来たのち釉薬をかけて焼成。
色釉薬は窯の雰囲気・場所で色の発色が大きく変わってしまうため、
あえて数回に分けて窯の中の一等地で焼成を行いました。
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約半年、慣れない作業でお時間が掛かってしまいましたが、
満足のいく仕上がりのオブジェが出来ました。
決して大量生産は出来ない作り方ですが、ハンドクラフトの暖かみあふれる、
良いアイテムが出来上がりました。
今回の経験はモノづくりの原点ともいえる試行錯誤の連続でしたが、
とても良い経験をさせて頂きました。